技術コラム(第6回) RS232C
前回、「 シリアル通信について 」の記事の中で、シリアル通信には様々な規格があるとご紹介しました。
今回は、その中から「RS232C」についてご紹介したいと思います。
RS232Cとは
シリアルポートのインターフェースです。現規格では「ANSI/TIA/EIA-232-F-1997」が正式名称ですが、一般的に浸透している「RS232C」という名称が使われています。
基本的にはPCや端末といった「データ端末装置」と、モデムなどの「データ回線終端装置」を繋ぐものとして設計されましたが、PC同士の直接接続や、あらゆる周辺機器の接続用に広く使われています。
規格上では、D-Sub25ピンが使用されましたが、25ピンは大きすぎるため、PCでは9ピンが主に使われます。
機能としては、ケーブルの最大長が約15mで、最高速度が20kbpsとなっていますが、現実にはそれ以上の高速通信にも使用されます。
RS232Cの規格は「同期通信」と「非同期通信」に対応するなど幅広く、特に「非同期通信」を主に使っています。
RS232Cの特徴
RS232Cでの接続方法には「ストレート接続」と「クロス接続」があり、ケーブルもこれに合わせ、「ストレートケーブル」もしくは「クロスケーブル」を使用します。
ストレート接続を使うケースはモデム等を使用する際に使われ、クロス接続を使うケースはPC同士を接続する、あるいはモデム以外の配線が逆になっていない機器に接続する場合に使われます。
RS232Cの信号は、「RS232Cレベル※1」と呼ばれる、独特のものを使います。
次にコネクタについてですが、先に記載したとおり、「25ピン」、「9ピン」があります。
ここでは主流となっているD-Subの9ピンを取り上げ、ご紹介したいと思います。
D-Subの9ピンは、元々「非同期通信」しか想定していないため、「同期通信」に関する信号線の一切が省略されています。
コネクタにはピン番号が各信号線に割り振られておりそれぞれに機能を持っています。
ピン番号 | 名称 | 機能 |
---|---|---|
1 | DCD | キャリア検出 |
2 | RxD | 受信データ |
3 | TxD | 送信データ |
4 | DTR | データ端末レディ |
5 | GND | 信号グランド |
6 | DSR | データ・セレクト・レディ |
7 | RTS | 送信要求 |
8 | CTS | 送信可能 |
※1:マーク(1)が-3V~-15V、スペース(0)が+3V~+15Vと、負論理となり、そのため、通常の電子回路(CMOSレベルやTTLレベル)でRS-232Cを使う場合、信号レベルの変換が必要ですが、一般的に電圧の変換を行う専用ICを使っています。
おわりに
今回「RS232C」についてご紹介しましたが、昨今、USBといった他のシリアル通信規格の存在から、PCをはじめとする端末に「RS232C」を搭載するケースは少なくなっているのが現状です。
ですが、組込開発.comのような組み込み系開発の現場では、まだまだ使用されることも多く、現役の規格と言えます。
熟知している方も大勢いるとは思いますが、おさらいしてみるのも良いかもしれません。
RS232Cは機器と機器を繋ぐための規格であり、対ノイズ性を上げるために電圧レベルが±15Vと高くなっています。しかし、機器内部でもシリアル通信は便利なため電圧レベルだけを0-3.3Vなどとし、プロトコル(通信の作法)はRS232Cと同じにした通信方法が良く使われています。
組込開発.comでは、組み込みシステムの開発を承っており、本コラムでご紹介したRS232Cについても実績があります。これまでの実績については、開発実績をご覧ください。
投稿者プロフィール
- メインはソフト担当ですが、筐体設計も担当します。プログラミング言語はPythonやC言語の経験が多いです。また、たいチャレ(詳細は右バーナー参照)にも参加しており、日々、様々なことを学びながら業務に取り組んでいます。
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