技術コラム(第10回) 意外?シリアル通信のLAN

本コラムで何度かご紹介している「シリアル通信」ですが、今回もシリアル通信の一つ有線LAN ※1(以下LANとします)について記述したいと思います。
※ LAN:Local Area Networkの略

本コラムをご覧の方であれば、”LAN”という言葉自体は知らない人はいないと思いますが、一方で「自分が毎日使っているLANもシリアル通信なの?」と意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。
それ位利用者が意識しないで使えるようになっているシステムだと言えます。

これは我々技術者も同様で、LANの様な複雑なネットワークをただ漠然と考えるのは大変難しいので、階層構造で分けて範囲を絞って考えるようにしています。
ネットワークに関するものは、一般的にOSI基本参照モデルと呼ばれる7つの階層に分けて設計されています。

OSI基本参照モデルとの関係

OSI基本参照モデルは下表のように階層化されています。

第7層アプリケーション層
第6層プレゼンテーション層
第5層セッション層
第4層トランスポート層
第3層ネットワーク層
第2層データリンク層
第1層物理層

今回話題にするシリアル通信にあたる部分は、このOSI基本参照モデルで言うところの「物理層」と「データリンク層」にあたります。
7つの階層に分けたもののうち2つだけなのかと思われるかもしれませんが、シリアル通信に関する部分は主にこの2つの階層になります。
これより上の階層は経路の選択や誤り制御、またアプリケーションソフトとのインターフェース部になり、それぞれに専門のエンジニアが設計やメンテナンスを担当しています。

このように細かく階層化して分けて考えると、複雑なLANのようなシステムであってもシンプルに考えることが可能になります。

LANのカテゴリ

LANの通信はベースバンド通信方式と呼ばれる方式で、グラウンドと信号線からなる2本のペアになったケーブルを使い、送受信するデータ「1」と「0」を、それぞれ「ハイ」と「ロー」に対応させたもので通信します。
前に本コラムで取り上げた「 RS232C 」と同じような方式になります。
この通信に使うケーブルにはカテゴリがあり、主に使用する通信速度によって使い分けられます。次にカテゴリの一覧表を示します。

カテゴリ通信速度伝送帯域
カテゴリ1電話用
カテゴリ2低速通信(ISDNなど)1MHz
カテゴリ310Mbps16MHz
カテゴリ4トークンリングなど20MHz
カテゴリ5100Mbps100MHz
カテゴリ5E1Gbps100MHz
カテゴリ61Gbps250MHz
カテゴリ6E10Gbps500MHz
カテゴリ710Gbps600MHz

カテゴリ1,2は電話や低速のデータ通信などで使われていたものです。
現在のLANで使われているケーブルのカテゴリはカテゴリ3以降のものになります。
(カテゴリ4はトークンリング用であまり使われていません)

このカテゴリの、3、4、5、5E、6、6E、7などとなっている数字は大きい方が速くなり、上位互換になるので、数が大きいものは小さいものの代替として使用可能です。
現在(2014年12月現在)市販されているケーブルは5以降のものがほとんどのようです。
昔のLANではシールドのついた同軸ケーブルなども使われていたのですが、現在では技術も進歩してシールドのないケーブルが使われています。
通信に使うケーブルは先ほど述べたようにグラウンドと信号線の2本がペアになりますが、そのままで配線するとノイズの影響が大きくなるので、よじって使います。
これをUTP(アンシールド・ツイステッド・ペア)ケーブルと呼びます。見た方がわかりやすいかと思いますので次に写真を示します。
被覆の中を見るとペアによじられたケーブルが4組入っているのがわかると思います。

LANケーブル中身 写真

LANケーブルの中身が見えるように開いたところ

このケーブルにはストレートケーブルとクロスケーブルがあります。
この点も以前ご紹介した「 RS232C 」通信と共通するところでしょう。
パソコン(以下PCとします)とHUBの接続にはストレートケーブルを使用します。
通常はこちらの使い方が多いと思いますので、お店で見かけるのはストレートが多いです。
PC同士を直接接続する場合はクロスケーブルを接続します。 クロスケーブルは種類も少ないのですが、念のためLANケーブルを買う時は、ストレートケーブルかクロスケーブルか、またカテゴリも確認してから購入するように注意してください。

さいごに

今回はシリアル通信の例として有線LANを取り上げましたが、弊社は有線・無線LANの他、規格されたものから独自規格まで、様々な通信機器の設計製造も行っております。これまでの実績については、開発実績をご覧ください。
開発実績の中には有線LANが具体的に何処に使われているのかを説明したものがありますのでこちらもご覧ください。

また、いわゆる、有線・無線通信機能が無い組み込み機器も扱っておりますので、何かございましたらお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

ソフト担当T
ソフト担当T
メインはソフト担当ですが、筐体設計も担当します。プログラミング言語はPythonやC言語の経験が多いです。また、たいチャレ(詳細は右バーナー参照)にも参加しており、日々、様々なことを学びながら業務に取り組んでいます。