技術コラム(第5回) シリアル通信について
今や当たり前のように使うようになった電子機器、世の中を見渡すと、実に多種多様な電子機器で溢れ返っています。パソコンしかり、スマートフォンしかり、数え上げればきりがありません。
それぞれ目的や特徴があるものばかりですが、多くのものに共通して使用されている技術要素として、「通信」が挙げられます。一言で「通信」と言っても、その通信方式や規格の点で様々な種類があり、この場で全てを紹介するのは容易な事ではありません。
今回は、「通信」に関わる最も基本的な通信方式の一つである、「シリアル通信」にフォーカスし、ご紹介したいと思います。
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シリアル通信とパラレル通信
「シリアル通信」は基本的な通信方式の一つですが、対極となる通信方式として「パラレル通信」があります。ここでは、それぞれの特徴のみを取り上げ「パラレル通信」についてはまたの機会に紹介したいと思います。
シリアル通信
直列伝送方式とも言われ、一本の通信回線を用いてデータを1ビットずつ順番に伝送していく方式です。
パラレル伝送方式にくらべて回路数が少なく低コスト、配線が簡単であることから長距離間の通信にも使われます。
パラレル通信
並列伝送方式とも言われ、複数の通信回線を用いる事によりデータを一度に複数ビット伝送する方式です。
シリアル伝送方式にくらべて回路数が多くなり、高コストになりますが、より高速な転送速度が得られるという特徴があります。
これら二つの通信方式は、使用目的に合わせ使い分けられていますが、昨今は「シリアル通信」のメリットの方が大きいことから、 使用されるケースが多くなっています。
では、なぜシリアル通信が多く使用されているのか、説明したいと思います。
シリアル通信のメリット・デメリット
まず、シリアル通信に必要な信号線の数ですが、最小2本(信号線とGND線)という、数少ない線で済むため、配線が簡単になるというメリットがあります。
次に、伝送の仕組み上、クロック(タイミング)ずれが発生しにくく※1、ノイズにも強いという特徴を持つため、パラレル通信よりも最大伝送距離を長くできるというメリットがあります。
また、制御が比較的容易であるというメリットもあります。
これらの特徴により、実際のシステム開発においてはより少ない配線、細い配線での通信網構築が可能になり、高い通信品質でありながら開発コストを抑えることが可能になるため、多くのシステムで利用されています。
一方、デメリットとしては、「パラレル通信」よりも通信速度が遅いという事が挙げられます。
しかし、このデメリットを埋めるべく、近年、「高速シリアル通信」に位置づけられる通信規格が多数実用化され、「シリアル通信」の使用がより進む傾向にあります。
※1:(「パラレル通信」では、複数の信号線を使用しデータ通信を行う。そのため、複数のデータを同時に通信できるようにタイミングを考慮する必要があるが、「シリアル通信」ではこれが省略できる。)
シリアル通信の種類
ここまで、「シリアル通信」のメリット・デメリットを中心にご紹介してきましたが、この「シリアル通信」方式を採用している通信規格は数多く存在します。
ここでは、比較的なじみ深い規格をいくつかご紹介し、それぞれの詳細は次回以降に掲載したいと思います。
RS232C
- 過去においては、多くのパソコンに標準で採用されていた規格。
当時、中低速のシリアル通信で最も普及している通信規格の一つです。
RS422
- RS232Cよりも高速、かつ長距離のデータ伝送が可能となる他、「1:多数」の通信が可能である。という特徴があります。
RS485
- RS422を改善し、さらに高速、長距離でのデータ伝送が可能となります。
USB
- 言わずと知れた、「シリアル通信」の代表格。
パソコン周辺機器間の高速大容量の通信を実現するための方式として策定。
最新バージョンはUSB4(2020/5 現在)。
コネクタの形状も複数あり、現在最も多く使用されている規格と言っても過言ではありません。
上記はほんの一例になり、他にも様々な種類があります。
次回は、RS232Cについてご紹介したいと思います。
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本コラムでご紹介したシリアル通信についても多くの実績がありますので、是非開発実績についてもご覧ください。
投稿者プロフィール
- メインはソフト担当ですが、筐体設計も担当します。プログラミング言語はPythonやC言語の経験が多いです。また、たいチャレ(詳細は右バーナー参照)にも参加しており、日々、様々なことを学びながら業務に取り組んでいます。
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