技術コラム(第9回) バッテリ駆動の携帯型端末に使用するCPU

パソコンをはじめとする多くの機器に搭載されている CPU。 一言で CPU といっても多種に渡るため、どれを使用するかは組込まれる機器に合わせ、 最適なものを選択する必要があります。 今回は、「バッテリ駆動」、「携帯型端末」というキーワードを踏まえ、使用する CPU について記載したいと思います。

CPUの選択

バッテリ駆動の携帯型端末に使用するCPUを選択する場合、”バッテリ駆動時間”及び”携帯するための機器の小型化”などを考慮し、 以下のような特徴を兼ね備えたCPUを選択する必要があります。

  • 低消費電力
  • 低電圧動作
  • 小型パッケージ
  • 周辺機能内蔵
CPUイメージ 写真

各特徴について

上記にあるそれぞれの特徴について説明します。

低消費電力

バッテリで駆動するシステムでは、システム全体の消費電力を可能な限り抑え、バッテリの駆動時間を延ばす必要が生じます。
そのためには、動作時の消費電力が数mA~数十mA程度というCPUを選択するとともに、sleepモード/standbyモードなど複数の低消費電力モードを備えたCPUを選択し、システムの状況に応じて細かなモード変更を行う必要があります。

低電圧動作

システムをバッテリにて直接駆動させる場合、上記の低消費電力に加えて、3V以下の低電圧でも動作するCPUが有効となります。
但し、CPUだけではなく搭載される周辺デバイスの動作電圧も関係するためシステム全体について低電圧動作する部品を使用する必要があります。
また、DC/DCコンバータを使用しバッテリ電圧から安定した電圧を生成することもできますが、この場合DC/DCコンバータ自身の効率による消費電力が発生するため、可能であればDC/DCコンバータは使用せずにバッテリから直接駆動するシステム構成としたほうが良いと言えます。

小型パッケージ

携帯するための機器サイズの小型化をはかるという意味で、10~20mm程度、場合によっては10mm以下という小型パッケージCPUを選択します。
そのためには必要最低限のピン数を選択すると共に、同じピン数であればQFNパッケージなどのできるたけ小型パッケージのものを選択します。

周辺機能内蔵

本来のCPU機能という意味では違うかもしれませんが、基板上の実装部品を削減することによる機器の小型化として、できる限り必要な周辺機能を内蔵したCPUを選択します。
具体的には、ROMやRAMといったメモリー、温度や加速度などの各種センサー値を取得するために必要なA/Dコンバータ、外部モジュールなどとデータの送受信をするためのシリアル通信などを内蔵したものが使用されます。
当然内蔵されていない周辺機能は外部の部品にて実現することになりますが、これらの部品もできる限り小さいものを使用します。

まとめ

今回はバッテリ駆動の携帯型端末に使用するCPUを選択する場合、どのような特徴を考慮するかについてまとめました。
しかし、今回記載した特徴はCPUを選択する際の一部の項目です。
そのため、上記以外にもそれぞれの機器において考慮すべき項目が他にもあり、その中でどの機能を重要視するかということになります。

組込開発.comでは、PIC系や8051系など色々なCPUを使用した機器の開発実績がありますので、何か知りたいことや開発依頼などのお話がありましたら、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

投稿者プロフィール

ソフト担当T
ソフト担当T
メインはソフト担当ですが、筐体設計も担当します。プログラミング言語はPythonやC言語の経験が多いです。また、たいチャレ(詳細は右バーナー参照)にも参加しており、日々、様々なことを学びながら業務に取り組んでいます。