農業用IoTを例にした無線システムの使い分け

IoT機器では設置の利便性などにより通信手段として無線が使われることが多くなりました。
一昔前はデータ通信に使える無線と言えば特定小電力ぐらいで近距離での無線化が精々でした(リモコン用途や飲食店のオーダー用途など)。

現在では高速・大容量の転送が可能な携帯系の広域データ通信サービスや、低消費電力で有りながら広域をカバーするLPWAなどのサービスが出てきています。
また、データを受け取る側もレンタルサーバーや高速インターネットの定額・常時接続が当たり前となった今では、誰でも手軽にIoTのシステムを構築することが出来るようになっています。

選択肢が広がった反面、構築するシステムと利用する無線システムの相性により使い勝手の悪いシステムになってしまう場合もございます。
弊社ではお客様ご要望の仕様に対して最適な方式を提案させていただきます。

1.自宅兼事務所と農場が近接している場合

小規模かつ、自宅又は事務所と農場が近接している場合は長距離の無線通信が必要ないため、400MHz帯や920MHz帯などの小電力無線を用いると通信会社への支払いの必要が無く、ランニングコストの低いシステムが構築できます。
(センサデータ等の少量データ通信に限る)

小規模農場用システムの絵

2.事務所と農場が離れている場合

農業法人など、必ずしも事務所と農場が近接していない場合や農場が各地に点在していて、小電力無線の到達範囲ではカバー出来ない時は広域サービスが行われているLPWA(sigfox/LoRa/LTE-M/NB-IoTなど)を契約してデータ収集・管理を行います。
監視カメラ等、大容量のデータ伝送が必要な場合は4GLTEなど、高速な通信網を用いる必要があります。(その分コスト高)

大規模農場用システムの絵

3.農場内で状態監視・設備操作をする場合

農場内で就業中に各種データのモニタ・機器操作などを行いたい場合は農場内のシステムにWiFiを追加するなどして、手持ちのスマホで監視・操作が出来るようなシステムにアップグレードすることも考えられます。
農場内に居る時間が長い場合は公衆網を使った通信と比べて通信費を削減する効果が有ります。

農場内での監視・操作システムの絵

実際のシステム設計の際には通信の品質・電源の条件等、加味しなくてはならない要素がたくさんあります。
お客様の実情に合わせてシステムの提案をさせていただきます。
組込開発.comでは過去に色々なシステムの提案・開発を行ってきました。是非開発実績もご覧になって下さい。

投稿者プロフィール

ハード担当M
ハード担当M
昭和の時代からハード開発を行ってます。分野的には無線を使ったポータブル機器です。昔はバラ部品から無線機を組み上げていましたが、今はIC一個で全て終わる時代になりました。性能はソコソコですが便利な時代になりました。