安全な雪下ろし

もう直ぐ冬がやってきますね。私は南関東に住んでいるので滅多に雪が積もる事は有りません。なので雪が降ると何かワクワクします。(でも私を含め、みんな雪に慣れていないので積もるほど降ると交通機関は乱れ、転倒者が続出します。)まあ、積もる程降るのは数年に一回程度なので個人的にはワクワク感の方が強いです。

雪だるま

ウィンタースポーツをする方には待ち遠しかった季節がやってきますね。しかし、いわゆる豪雪地帯の方達には憂鬱な季節かも知れません。

毎年の様に雪の季節になると雪下ろし中に屋根から落ちたとか、屋根から落ちてきた雪の下敷きになったとか、必ずと言って良いほどニュースになります。前者は雪が勝手に落ちないタイプの屋根での事故、後者は雪下ろしの要らないタイプの屋根での事故ですね(更に言うと雪下ろし中に巻き込まれる場合も有るようですね)。結局どっちのタイプの屋根でも事故が起きてしまうのですね。屋根から落ちない為には屋根に上らない事、落雪に巻き込まれない為には勝手に雪が落ちてこない事が条件になると思います。(ヒーターや温水を使って最初から雪を積もらせないと言うのも手ですが。)そこで屋根に上らずに雪下ろしが出来る仕組みを考えて見ました。(勿論雪が落ちてくる軒下で作業しなくて済む事も条件として考えました。)

雪下ろし装置全体図
落雪装置(クリックで拡大)

上の図が落雪装置の全体像です。(実際には側面にもカバーを付けないと雪が吹き込んでしまいますが、構造を理解していただくために外した状態の絵を描いてあります。)降った雪はロール状になっているシートの上に積もります。雪が勝手に滑り落ちないよう、シートには雪止めが付けて有ります。ロールシートを回転させるためのギヤーBOXが棟に付いていて、下に置いてあるモーターとシャフトで繋がっています。積雪量が一定の値を超えるとギヤーBOX内に設置されたセンサーが感知し、ユーザーに通知します。通知されたユーザーはモーター近くの制御盤を操作し、ロール状のシートを回転させます。すると軒まで達した雪はシートから剥がれて軒先に落ちる仕組みです。剥がし損ねた雪がシートと屋根の間に挟まると厄介ですので、軒先には雪剥がし用のツメを取り付けておき、極力雪がシートと屋根の間に入らないようにしています。また、棟の部分には雪割りを設け、積もった雪が分離し易くなるようにしています。モーターを回す電気代は大してかからないと見込んでいます。雪自身の重みでロールシートを回す方向に力が働いていると思いますので、むしろモーターとギヤーBOXはシートに対してブレーキをかける役割の方が大きく、落雪方向に回転させるための力は余り必要ないと考えます。常時ヒーターで雪を融かしている装置と比べるとコストは低く抑えられるのでは無いかと想像します。

スマホへは通知のみです。技術的には遠隔操作で落雪装置を動かす事が出来ますが、監視の出来ない状態で屋根から雪を落としては事故に繋がります。絵では操作盤を壁面に取り付けてありますが、落雪地点と操作盤の間が見通しの効かない場合は操作部をケーブルで引っ張り、落雪地点を目視出来るようにすべきですね。また、確認者が一人しか居ない場合を考えると屋根の片側ずつロールシートを回転できるようになっていた方が安全ですね。

既定の積雪量になったらユーザーに通知する
ユーザーに通知(クリックで拡大)

図では基本的なコンセプトを示しましたが、難点は”見てくれ”でしょうか。一般住宅では屋根の上にシートが有るのはチョットいただけない感じでしょうか。高齢者等の住宅で雪下ろしをしてくれる当てが無いなどの場合は許容されるかも知れませんが、お洒落な住宅にロール状のシートが載っているのは”チョットね”と言う感じですね。でも、倉庫や工場などの場合は”見てくれ”よりもコストや安全性が優先するのではないでしょうか。また、雪は重たいですから耐荷重を考慮した設計が重要です。豪雪地帯では積もった雪の重さが平米当たり数百キログラムにもなると聞きます。絵ではローラーが4本となっていますが、実際にはもっと増やしたり、一本のローラーを両端だけでは無く何か所かで支える必要が有るかも知れません。この場合、支えを屋根に取り付けるとシートが分割されますので隙間に雪が落ちないようにカバーをするなどの処理を考える必要が有ります。若しくは屋根からの支えもローラーとしてシートごとローラーを支えるなどの工夫が必要です。この場合、シートに雪が付着したままだとローラーの動作に影響を与えるので雪剥がし爪の動作が重要になってきます。耐久性や経時変化(劣化)なども考慮して実験を重ねないと中々正解は見つからないかも知れませんが何かのヒントになればと思います。少しでも雪国の方が安全かつ快適に過ごせることを願っています。

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投稿者プロフィール

ハード担当M
ハード担当M
昭和の時代からハード開発を行ってます。分野的には無線を使ったポータブル機器です。昔はバラ部品から無線機を組み上げていましたが、今はIC一個で全て終わる時代になりました。性能はソコソコですが便利な時代になりました。