おトクな充電が出来る電気自動車用充電スタンドの提案

充電スタンド

充電完了時間ごとに(充電)料金を変え、電力を分散させることによって電力設備費を低く抑え、結果的にユーザーにメリットが出る電気自動車用駐車場兼充電スタンドを作りましょう。
直ぐに充電をしたい場合は特急料金を割り増しし、明日の朝までに充電が終わっていれば良いと言うような場合は割安な料金設定を行うことによって電力消費が特定の時間帯に集中することを避けられる駐車場兼充電スタンドを作りませんか。

地球温暖化を防ぐ手段の一つとしてガソリンなどを燃料とする内燃機関をやめて電気自動車を推進する動きが強くなっています。しかし、ガソリンや軽油などと違って電気の充電には時間がかかります。
電気自動車の充電にはどのくらいの時間・電力が必要かご存じでしょうか。N社の電気自動車で電池容量の大きいタイプの車では62kWhの容量を持つ電池が搭載されており、これで458kmの走行が可能なようです。この電池を充電するには普通充電の6kW(=100V換算で60A・実際の充電器は200V仕様ですが、家庭用の100Vで換算しました)では12.5時間かかります。電池を使い切る事は余りないでしょうが、たまたま遠出をしてしまうとこのくらい時間がかかってしまいます。これでは夜、自宅に帰ってきてから充電しても朝の出勤までには間に合わないですね。また、自動車の充電だけで60Aも使ってしまっては家で使える電気がなくなってしまいます。と、なると何処か別の場所で急速充電する必要が出てきます。先の例に挙げた自動車では急速充電をすれば60分で電池の8割まで充電出来るそうです。(8割以上充電するには急速充電器では効率が悪いので一般的にはこの辺を目途に充電を止めるようです。)
この急速充電に必用な電力は50kWだそうです。ちょっと前(2015年)のデータですが、一般家庭の平均的な電力契約は3.5kWだったとの事です。50kWとなると、一般家庭14軒分になります。駐車場に10台分のスペースが有ったとして、自動車が高々10台有る場所に140軒分の電力設備を備えるのはどうでしょうか?

急速充電には住宅14軒分の電力が必要


日本の様な(定時に出勤して定時に帰ってくる人が多い)生活様式の場合、10台同時とはならなくても7台くらいが同時に充電するような状況は十分考えられます。
同時に充電を行えば一時的に大量の電力を消費しますが、順番に充電を行えばより少ない電力で充電が行えます。

人によっては帰ってきて直ぐに充電して出かけなくてはならない人も居るでしょうし、次の日の朝まで車を使わないのでそれまでに充電が終わっていれば良い人も居るでしょう。車をとめた順番に充電を行うのではなく、充電が終わっていて欲しい時刻を設定し、それにあわせて充電の中断・切り替えなどを行う形にしてはどうでしょうか。但し、料金面で差をつけなければ充電完了時刻を遅く設定をしてくれる人は少なくなると考えられるので(早く充電が終われば突然用事が出来た時に便利ですよね。そう考えると料金が同じなら早く充電が終わるようにセットしませんか?)、直ぐに充電をしたい人には”特急料金”を付加し、8時間とか10時間後に充電完了時刻を設定してくれた人には割引をするとか、本当に車が必要な時刻に充電完了の予約をしてもらえる工夫が必要です。このようにすれば、充電用のプラグと予約用の設定/表示パネルは台数分必用となるものの、電力設備は駐車台数より少なくすることが出来、設備費を減らすことが出来ます。また、瞬間的に大電力を消費することも無くなるので発電所にも優しい充電スタンドになります。

ここで、一例を挙げて説明します。以下の図では4台の駐車スペースに対して1台分の充電設備を持った場合です。

予約型充電システム

駐車スペースの①~④に順番に駐車されたと仮定して、それぞれの充電完了時刻が
①:翌朝7:00
②:今晩20:00
③:翌朝10:00
④:今晩18:00
だったとします。(現在時刻は16:35と仮定します)
充電器の動作は以下の様になります。
①の車が駐車された時点で充電がスタートします。
次に②の車が駐車され、充電完了時刻が20:00に設定された時点で①の充電を中断し、②の充電を開始します。
更に③の車が駐車されましたが、充電完了時刻が翌朝10:00ですので、②の充電が継続されます。
その後に④の車が駐車されると充電完了時刻が今晩18:00なので②の充電を中断し、④を充電します。
④の充電は現在時刻(16:35)から1時間程度で完了しますので、その後②を充電すれば20:00迄には充電が完了します。
②の充電が完了後、①の充電、次いで③の充電を行えば駐車された4台の充電が1台分の電力で希望通りの時間迄に終了させることが出来ます。
また、近くに同様な方式の設備を持つ駐車場があれば高いに電力を融通しあうなど、効率的な運用ができるかも知れません。

電気自動車は便利ですが、充電一つを取っても解決しなくてはならない課題が沢山有ると思います。技術の力で本当に環境に優しい社会が出来たら良いなと思います。

組込開発.comでは過去に様々な提案・開発を行っています。開発実績の方も是非ご覧になって下さい。

投稿者プロフィール

ハード担当M
ハード担当M
昭和の時代からハード開発を行ってます。分野的には無線を使ったポータブル機器です。昔はバラ部品から無線機を組み上げていましたが、今はIC一個で全て終わる時代になりました。性能はソコソコですが便利な時代になりました。