技術コラム(第21回)無線通信について

このコラムでは、
無線通信について以下の流れでご説明いたします。

始めに
無線通信の種類
 Bluetooth
 Zigbee
 独自通信規格
終わりに

電波イメージ

始めに

これまでのコラムで紹介した通信はケーブルや基板上のパターンを通じて有線で通信を行っていました。このような通信を有線通信といいます。

それに対して、電波などを利用して、線を使わずに通信する方法を無線通信といいます。このコラムでは、組み込み開発で利用機会の多い無線通信についてご説明いたします。

無線通信の種類

無線通信には様々な規格が存在します。
規格別にそれぞれの特徴をご説明いたします。

Bluetooth

デジタル機器用の近距離無線通信の規格です。世の中の多くのデバイスで採用されており、特に、スマホ、タブレット、ノートPCには必ずBluetoothが搭載されています。

Bluetoothは以下の規格で構成されています。

  • Bluetooth Classic
    • Bluetooth Basic Rate (BR)
    • Enhanced Data Rate (EDR)
  • Bluetooth Low Energy(BLE)

Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energyは別の規格で互換性はありません。

インタープラン IMBLE
BLEモジュール例(インタープラン社製 IMBLE)

Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energyの違いは同時接続デバイス数と消費電力です。
Bluetooth Classicでは、MasterとSlaveに役割が分かれ、MasterからSlaveに最大で7台同時接続できます。Bluetooth Low EnergyではCentralとPeripheralに役割が分かれCentralからPeripheralに規格上何台でも同時接続できます(実際にはシステムの仕様に依存します)。
また、消費電力については、Bluetooth Low Energyのほうが消費電力が低くなります。

通信距離数十m程度
通信周波数2.4GHz帯
通信速度Bluetooth Classic 1Mbps~3Mbps(HSは24Mbps)
Bluetooth Low Energy 125kbps~2Mbps
使用用途PCマウス、キーボード、携帯・スマホ、タブレット、ワイヤレスイヤホンなど

Zigbee

ZigBeeはセンサーネットワークを主目的とする近距離無線通信規格です。転送距離が短く、転送速度も低速である代わりに、省電力で動作する特徴を持っています。

RAYTAC MDBT50Q-1M
Zigbeeモジュール例(RAYTAC社製 MDBT50Q-1M)

ZigBeeとBluetoothの消費電力について、基本的に大きな差はありませんが、利用方法によっては差が表れます。
ZigBeeは、データを送りたい時だけスリープ状態から復帰させ、送信後にはスリープ状態に戻る事が可能です。しかし、Bluetoothは短い間隔でスリープ状態にする事が苦手なので、短い間隔でデータを送信したいのであれば、ZigBeeの方が消費電力が抑えられることになります。
ZigBeeの通信速度はBluetoothと比べると遅いですが、一つのネットワークに最大65535ノード(端末)が接続する事が可能です。また、Bluetoothは比較的狭い範囲でのデータ通信、且つZigBeeに比べて速い速度で通信する事が可能です。

通信距離数十m程度
通信周波数2.4GHz帯 (日本国内仕様)
通信速度20kbps~250kbps
使用用途テレビのリモコン、ナースコールなど

独自規格

無線モジュールには、メーカーが独自に規格を用意している場合もあります。

独自に決められた規格のため、通信距離、通信周波数、通信速度は無線モジュールによって異なります。

独自規格の無線モジュールを利用するためには、無線モジュールごとに規格や使い方を知る必要が出てきます。ただ、Bluetoothといった規格ほど複雑ではなく、無線の知識がなくても簡単に利用できる無線モジュールも存在しています。

独自規格の無線モジュールもレストランの呼び出し釦など様々な場所で利用されています。

インタープラン IM920
独自規格モジュール例(インタープラン社製 IM920)

終わりに

組込開発.comでは、無線通信を利用したハードウェアやファームウェア開発を行っております。無線通信の開発実績は以下リンクよりご確認ください。

また、姉妹サイトである、無線モジュール.comでは、無線モジュールの販売や案件に合わせた無線モジュールの提案を行っております。ご興味ある方は是非ご覧ください。

投稿者プロフィール

ソフト担当T
ソフト担当T
メインはソフト担当ですが、筐体設計も担当します。プログラミング言語はPythonやC言語の経験が多いです。また、たいチャレ(詳細は右バーナー参照)にも参加しており、日々、様々なことを学びながら業務に取り組んでいます。